ハーレーのビッグツインモデルは『エンジンオイル』『ミッションオイル』『プライマリーオイル』
それぞれ別のオイルが必要です。
今回手順を紹介するエンジンオイルは、この3つの中でも一番交換頻度が高い部位。
バイク屋さんによって金額の差はありますが、ハーレーのエンジンオイル交換の費用は5000~8000円が相場です。

家庭を持つ身としては5000円は大きいです
でもエンジンオイル交換が自分で出来るようになれば、
エンジンオイル代と備品を合わせて2000円以下の費用で出来ます。



工具を揃えると、けっきょく高くついちゃうんじゃないかって思いますよね
実はエンジンオイルの交換はレンチ1本で出来るんです。
(もちろん便利な工具や設備を揃えたほうが作業はしやすいですが)
今回の記事では、初めてエンジンオイル交換にチャレンジする人に向けて、『簡単』に『わかりやすい』ように順を追ってやり方を解説していきます。
この記事を読めば、次から自分でエンジンオイル交換が出来るようになります。
なお、記事前半は交換時期について解説しています。
交換手順のみ知りたい人は、コチラをクリックすれば、記事の後半に飛べますので時間の節約になります。
では行ってみましょう。
ハーレーのエンジンオイルの交換頻度
日本での通常使用の場合
サービスマニュアルによると初回は『800キロ』
その後は『8000キロごと』に指定されています。
ただし、これは広大なアメリカの地を走行するのを想定した数字です。
ストップ&ゴーが多い日本の環境では『3000キロ~5000キロごと』に交換したほうがエンジンを痛めません。
エンジンオイルの交換時期を早めたほうが良いケース
外気温が低い状態で短い距離を頻繁に走る場合は、エンジンオイルの交換時期を早めたほうが良いです。
- 外気温16℃以下
- 短い距離24km以下



上記2つの項目に該当する場合は2400km毎にエンジンオイル交換が推奨されています
なぜ交換時期を早める必要があるのか
エンジンの内部では燃焼によって蒸気が発生します。
(特に寒冷期は結露によって発生しやすい)
通常30分くらい運転していればエンジンが完全に暖まり、エンジン内の水分は焼失します。
しかし、エンジンが完全に温まる前にエンジンを切ってしまうと、蒸発しきらなかった水分がエンジンオイルと混合してスラッジが形成されやすくなります。



スラッジが形成されるとエンジンの故障につながります
エンジンオイル交換に使う道具
ラチェットなど便利な道具があれば便利ですが、最低限必要な物に絞って紹介していきます。


必要な工具
- 5/8レンチ(必須)
- バイクジャッキ(あると作業が楽)
レンチはメガネタイプでは無く、片口タイプの方が使いやすいです。
私が所有している2009年式のツインカムダイナは、『オイルドレンが地面に対して横向き』に付いています。
年式や車種によっては、『オイルドレンが下向き』に付いていることもあります。
もし、下向きの場合はレンチが入らないので、ソケットを準備しましょう。
準備するもの
- エンジンオイル(SAE 20W-50)_ 3本(3クオート)
- 廃油パック (トイレットペーパーで代用可)
- シールテープ
- Oリング
- 使い捨てグローブ(あると手が汚れなくて楽)
【SAE】⇒米国自動車協会の基準
【〇W-〇】⇒オイルの外気温適応範囲
【SAE 20W-50】⇒米国自動車協会の基準で外気温0℃~50℃の範囲が適応



ハーレー社のサービスマニュアルには【SAE 10W-40】が最適とされていますが、寒冷地に住んでいない限り、安価で流通量の多い【SAE 20W-50】で充分です
エンジンの暖気


近所を15分くらい走ってエンジンを温めましょう。
エンジンが温まると、オイルの粘度が下がって、古いオイルの抜けが良くなります。
バイクを降りてすぐに作業したいところですが、エンジン周りが冷めるまで少し時間を置きましょう。



プライマリーカバーが素手で触れるくらいの温度になっていれば、安全に作業出来ますよ
エンジンオイル交換ステップ①:古いオイルの抜き出し
ジャッキアップ


ジャッキを使うと、地上高を確保出来るので作業が捗ります。
ジャッキを持っていない場合は『サイドスタンドに板をかませてバイクを起こし気味』にすると作業しやすいです。
ただしローダウンしている車両は、地上高が十分に確保出来ないので作業が難しいです。



ローダウンしている車両は、ジャッキを準備しましょう
ドレンボルト外し
エンジンオイルのドレンボルトは車体の左側からアクセスします。


5/8レンチを使って手で回せるくらいまで、ボルトを緩めましょう。


手で回せるくらい緩めたら廃油パック内にドレンボルトを落とさないように、注意しながら外します。


ドレンボルトを外したら、車体の右側に移動してオイルフィラーキャップを緩めます。


フィラーキャップを開けると、オイルが抜けた空間に空気が入るので、オイルが抜けやすくなります。
先にフィラーキャップを外してしまうと、ドレンボルトを外した時に勢い良くエンジンオイルが飛び出してくるので作業がやりづらいです。
なので、今回紹介している手順がおススメです。



ジャッキを使わないで作業している場合は、一度車体を真っ直ぐに立ててオイルを抜き切りましょう
エンジンオイル交換ステップ②:車体下の整備
ドレンボルト清掃


廃オイルが付いたドレンボルトを、パーツクリーナーで清掃していきます。
この時に、元々ついていたOリングとシールテープは廃棄して、新しい物との交換します。
ドレンボルトの先端には磁石が付いていて、エンジンオイルの中の鉄粉を付着させエンジンを傷から守っています。
もし大きな金属片が付着していたらエンジン内に何らかの問題が発生しているかもしれません。
すぐにバイク屋さんに診てもらいましょう。
Oリングとシールテープの取り付け
清掃したドレンボルトに、新しいOリングとシールテープを取り付けていきます。


シールテープは巻かなくてもオイル漏れはしませんが、巻いていた方が安心です。
- シール性の向上
- ネジ山の保護
ドレンボルト自体は大した金額ではありません。
しかし、車体側のネジ山が舐めてしまうと、高額な修理費が発生するので予防に越したことは無いですね。
ドレンボルト取付け
エンジンオイルが完全に抜けきったら、 締め込めるところまでは、手でドレインボルトを絞め込みます。
- 途中でネジの感じがおかしかったり、ナナメに刺さっているようならすぐに止める
- 最初から工具を使って締めると、ネジ山が破損する
ドレンボルトの規定トルクは19.8N~20.8Nに指定されています。
私はトルクレンチを使った事がありません。
手で絞められるだけ締めて、最後に少しだけ工具で増し締めしています。
オイルを抜くときにドレンボルトを緩めていっても、オイルが中々出てきませんでしたよね。
なので、少し緩いくらいじゃオイル漏れはしません。



締めすぎてネジ山が壊れるほうが怖いです
エンジンオイル交換ステップ③:新しいオイルの投入
新しいオイルの投入


オイルを投入するは、サイドスタンドをかけた状態で行います。


ツインカムダイナは、およそ2本オイルを使うので、1本と半分までは一気に投入して大丈夫です。


オイルキャップを締め込みディップスティックでオイル量を確認しながら、オイルを継ぎ足していきましょう。



写真のようにゲージの半分を超えるくらいが目安です
オイルの液面調整
ゲージの半分を超えるくらいまでオイルを補給したら、オイルフィラーキャップを締め込み1~2分ほどエンジンを始動させオイルを循環させます。
エンジン停止後、再びオイルフィラーキャップを締め込みオイル量を確認します。




オイルがエンジン内を循環するので、写真のように、2ブロックくらいゲージの液面が下がります。



一度エンジン内をオイルが循環しているので、ディップスティックをペーパーウエスで拭いてから液面の確認をしましょう
ゲージの半分より少し欠けるくらいが理想ですが、規定範囲より少ない場合は継ぎ足しましょう。



これで、エンジンオイルの交換は完了です
まとめ:ハーレーのエンジンオイル交換の難易度は高くない
- 5/8レンチ
- エンジンオイル(20W-50) _3本
- 廃油パック
- シールテープ
- Oリング
- 車体の暖気(15分程度)
- 古いオイルの抜き出し(オイルフィラーキャップは最後)
- 新しいオイルの投入 (サイドスタンドをかけた状態で行う)
- エンジンを始動して循環後、オイルの液面を確認する
エンジンオイルの交換は手順さえ守れば、それほど難易度は高くない作業です。
年に2~3回と作業頻度も低くないので、年間で10000円くらいの差額を生み出します。
さらに自分で整備してみると、普段見えないところにも目が行き、車体トラブルの予兆を発見しやすいメリットもあります。
この記事を参考に、ぜひ『エンジンオイルの交換にチャレンジ』していただきたいです。
今回の記事内容ははあくまで素人の作業手順の紹介となります。そのため、あらゆる人が作業を成功させるのを保証するものではありません。よって当ブログ管理人は作業の結果の安全性を一切保証出来ません。作業により物的損害や障害、死亡の可能性があります。この作業上において発生した物的損害や障害、死亡については当ブログ管理人では一切の責任を負いかねます。すべての作業におけるリスクは、作業を行うご本人に負っていただくことになりますので、充分にご注意ください。
今回の記事は以上になります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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