ハーレーのビッグツインモデルは『エンジンオイル』『ミッションオイル』『プライマリーオイル』それぞれ別のオイルが必要です。
今回手順を紹介するエンジンオイルは、この3つの中でも一番交換頻度が高い部位。
毎回バイク屋さんに依頼するとなかなかの出費です。
なので……自分でチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
エンジンオイル交換はレンチ1本あれば出来ます。
(もちろん便利な工具や設備を揃えたほうが作業はしやすいですが。)
本記事では、初めてエンジンオイル交換にチャレンジする方に向けて、『簡単』に『わかりやすい』ように順を追ってやり方を解説していきます。
では行ってみましょう。
ハーレーのエンジンオイルの交換頻度
サービスマニュアルに記載されている内容が必ずしも正しいとは限りません。
なぜならサービスマニュアルはアメリカ本土で走行を想定して作られているからです。
走行環境によって頻度は変わります。
日本国内での通常使用の場合
サービスマニュアルによると初回は『800km』
その後は『8000kmごと』に指定されています。
ただし、これは広大なアメリカの地を走行するのを想定した数字です。
ストップ&ゴーが多い日本の環境では、3000~5000kmごとしたほうがエンジンに優しいです。
使用環境によっては短いサイクルで交換する
バイクに乗る環境は千差万別です。
以下を参考に交換頻度を調整してみてください。
交換サイクルを早めるケース
外気温が低い状態で短い距離を頻繁に走る場合は、エンジンオイルの交換時期を早めたほうが良いです。
- 外気温16℃以下
- 短い距離(1回あたりの走行が24km以下)
上記2つの項目に該当する場合は2400km毎にエンジンオイル交換が推奨されています。
なぜ交換時期を早める必要があるのか
エンジンの内部では燃焼によって蒸気が発生します。
(特に寒冷期は結露によって発生しやすい)
通常30分くらい運転していればエンジンが完全に暖まり、エンジン内の水分は焼失します。
しかし、エンジンが完全に温まる前にエンジンを切ってしまうと、蒸発しきらなかった水分がエンジンオイルと混合してスラッジが形成されやすくなります。
スラッジが形成されるとエンジンの故障の原因になります。
スラッジとは不完全燃焼による酸化物質のことです。スラッジは正式にはカーボンスラッジといい、エンジン内で燃料が燃焼するのにともなって発生する酸化物質のことを指します。 簡単に言えば、燃えカスのことであり、すす(スート)とも呼ばれます。
引用:株式会社オートバックスセブン
ハーレーのエンジンオイル交換に使うもの
ラチェットなど便利な工具があれば作業が捗ります。
今回は最低限必要な物に絞って紹介していきます。
エンジンオイルの交換に必要な工具
- 5/8レンチ(必須)
- バイクジャッキ(あると作業が楽)
レンチはメガネタイプでは無く、片口タイプの方が使いやすいです。
筆者が所有している2009年式のツインカムダイナは、オイルドレンが地面に対して横向きに付いています。
しかし、年式や車種によってはオイルドレンが下向きに付いていることがあります。
もし下向きの場合はレンチが入らないので、ソケットを準備しましょう。
エンジンオイルの交換に必要な道具
エンジンオイル交換に最低限必要な道具は下記の4点です。
- エンジンオイル(SAE 20W-50) ×3本(3クオート)
- 廃油パック (トイレットペーパーで代用可)
- シールテープ
- Oリング
- 【SAE】⇒米国自動車協会の基準
- 【〇W-〇】⇒オイルの外気温適応範囲
- 【SAE 20W-50】⇒米国自動車協会の基準で外気温0℃~50℃の範囲が適応
ハーレー社のサービスマニュアルには【SAE 10W-40】が最適と記載されています。
とはいえ寒冷地でなければ、流通量が多くて安価な【SAE 20W-50】で十分。
- SAE 10W-40……-20℃~40℃
- SAE 20W-50……0℃~50℃
筆者も【SAE 20W-50】を使っています。
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ハーレーのエンジンオイルの交換手順
エンジンオイルの交換手順は5工程に分かれます。
古いエンジンオイルの抜き出し
エンジンの暖気
近所を15分くらい走ってエンジンを温めましょう。
エンジンが温まるとオイルの粘度が下がって、古いオイルの抜けが良くなりますよ。
バイクを降りてすぐに作業したいところですが、エンジン周りが冷めるまで少し時間を置きましょう。
ジャッキアップ
オイル交換自体はジャッキが無くても出来ます。
とはいえ、作業のやりやすさの面を考えると、ジャッキがあったほうが便利です。
ジャッキがあると地上高を確保できて作業がやりやすいです。
他の整備でも使いますし長期的に考えてジャッキは揃えておきたい工具の1つです。
古いオイルを抜き出す
エンジンオイルのドレンボルトは車体の左側からアクセスします。
5/8レンチを使って手で回せるくらいまでボルトを緩めましょう。
手で回せるくらい緩めたら、廃油パック内にドレンボルトを落とさないように注意しながら外します。
ドレンボルトを外したら、車体の右側に移動してオイルフィラーキャップを緩めます。
フィラーキャップを開けると、オイルが抜けやすくなりますよ。
この時、必ずドレインボルトを外してからフィラーキャップを緩めましょう。
逆の順番でやるとドレンボルトを外した時に、勢い良くエンジンオイルが飛び出してきます。
新しいエンジンオイルを入れる前段取り
ドレンボルト清掃
廃オイルが付いたドレンボルトを、パーツクリーナーで清掃していきます。
この時に、交換前に付いていたOリングとシールテープは廃棄して、新しいOリングを使いましょう。
ドレンボルトの先端には磁石が付いていて、オイルの中の鉄粉を付着させてエンジンを傷から守っています。同じサイクルで交換していて、いつもより多量の鉄粉が付着していたり大きな金属片が付着していたらエンジン内で何らかの問題が発生しているかもしれません。すぐにバイク屋さんに診てもらいましょう。
Oリングとシールテープの取り付け
清掃したドレンボルトに、新しいOリングとシールテープを取り付けていきます。
シールテープは巻かなくてもオイル漏れはしませんが、巻いていた方が安心です。
- シール性の向上
- ネジ山の保護
ドレンボルト自体は大した金額ではありません。
とはいえ、車体側のネジ山が舐めてしまうと高額な修理費が発生するので予防に越したことは無いです。
ドレンボルト取付け
オイルが完全に抜けきったら、 締め込めるところまでは手でドレインボルトを絞め込みます。
- 途中でネジの締め付けに違和感があったら直ぐ止める
- 最初から工具を使って締めると、ネジ山が破損する
ドレンボルトの規定トルクは19.8N~20.8Nに指定されています。
なお筆者はトルクレンチを使った事がありません。
手で絞められるだけ締めて、最後に少しだけ工具で増し締めしています。
オイルを抜くときにドレンボルトを緩めても、なかなかオイルが出てきませんでしたよね。
なので、少し緩いくらいでオイルは漏れません。
締めすぎてネジ山が壊れるほうが怖いです。
オイルフィルターの交換
オイルフィルターを交換する場合は、オイルを抜き出し終わったこのタイミングで行います。
なお、オイルフィルターの交換は、オイル交換2回に1回の割合です。
詳しくはハーレーのオイルフィルター交換の手順【ダイナを例にやり方を解説】をご覧ください。
新しいエンジンオイルを入れる
サイドスタンドをかけた状態でオイルを入れる
エンジンオイルの液面確認はサイドスタンドをかけた状態で行います。
サイドスタンドをかけて投入しましょう。
ツインカムダイナのエンジンオイルの使用量は約2本です。
※オイルフィルターを交換しない場合
1本と半分までは一気に投入して大丈夫ですよ。
オイルの液面確認
オイルキャップを締め込みディップスティックでオイル量を確認しながら、オイルを継ぎ足していきましょう。
写真のようにゲージの半分を超えるくらいが目安です。
オイルの液面調整
ゲージの半分を超えるくらいまでオイルを補給したら、オイルフィラーキャップを締め込み1~2分ほどエンジンを始動させてオイルを循環させます。
エンジンを停止したら、もう一度オイルフィラーキャップを締め込みオイル量を確認しましょう。
オイルがエンジン内を循環するので、写真のようにゲージの液面が2ブロックくらい下がります。
ディップスティックをペーパーウエスで拭いてから液面の確認をしましょう。
ゲージの半分より少し欠けるくらいが理想です。
規定範囲より少ない場合は継ぎ足して調整します。
これでエンジンオイルの交換は完了です。
ハーレーのエンジンオイル交換を自分でしてみよう
ハーレーのエンジンオイルの交換は手順さえ守れば、それほど難易度は高くない作業です。
自分で出来るようになれば維持費とバイク屋さんに行く時間の節約になります。
エンジンオイルの交換頻度は高いですからね。
さらに自分で整備すれば普段見えないところにも目が行き、車体トラブルの予兆を発見しやすい側面もあります。
本記事を参考に、ぜひエンジンオイルの交換にチャレンジしていただきたいです。
今回の記事は以上になります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
本記事の内容はあくまで専門家では無い人物の作業の紹介となります。そのため、あらゆる人が作業を成功させるのを保証するものではありません。よって当ブログ管理人は作業の結果の安全性を一切保証出来ません。作業により物的損害や障害、死亡の可能性があります。この作業上において発生した物的損害や障害、死亡については当ブログ管理人では一切の責任を負いかねます。すべての作業におけるリスクは、作業を行うご本人に負っていただくことになりますので、充分にご注意ください。
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