ハーレーのビッグツインモデルは『エンジンオイル』『ミッションオイル』『プライマリーオイル』
それぞれ別のオイルが必要です。
今回、手順を紹介する『プライマリーオイルの交換』は、他の2か所に比べて難易度は高いと言えます。
なぜならば、プライマリーオイルの交換作業は他の2か所と異なりダービーカバーを外すなど工程が多く、めんどくさい神経を使うからです。

久しぶりのプライマリーオイル交換だったので、サービスマニュアルを確認しながら作業しました
今回の記事では、私のように久しぶりに触る人や、初めてプライマリーオイル交換にチャレンジする人に向けて、『簡単』に『わかりやすい』ように順を追ってやり方を紹介していきます。
この記事を読めば、迷わずプライマリーオイル交換が出来るようになります。
記事前半は交換時期について解説しています。
交換手順のみ知りたい人は、コチラをクリックすれば記事の後半に飛べますので時間の節約になります。
では行ってみましょう。
ハーレーのプライマリーオイルの交換タイミング
サービスマニュアルには『16000kmに1回』とあるが…
サービスマニュアルには『プライマリーオイルは16000kmに1回を推奨』と記載されています。
でもネットで調べてみると『5000kmに1回』とか『エンジンオイル交換の2回ごとに1回』って書いてあったりするんですよね。



米国基準とは言え、サービスマニュアルに間違いは無いはずですが…
管理人が考える最適解
もう何が正しいのかわからないですよね。
そこで私の経験則を基にお話しします。
結論から言ってしまうと、ハーレーのプライマリーオイルの交換は『10000kmまたは2年1回(車検毎)』が最適解と考えています。
『10000kmまたは2年1回(車検毎) 』の根拠
もともとはサービスマニュアルに沿って、16000kmに到達したら交換するつもりでいました。
しかし12000km程走行しプライマリーカバーを開ける機会があったので、予定より早くプライマリーオイルを抜き出すことに。


当時は車体を購入して日が浅く、自分でプライマリーオイルの交換をするのはこの時が初めてでした。


なんだこの鉄粉の量は…?
(後から知りましたが、鉄粉の量も正常の範囲内との事)
その後、何度かプライマリーオイルを交換してきましたが、どうも走行距離と鉄粉の量は相関傾向があるようです。



期間よりも、走った分だけ鉄粉の量が増える傾向です
あくまで私の経験則によるものですが、
このような理由から『10000kmに1回』が落としどころではないかと考えます。
とはいえプライマリーケース内は鉄粉が発生しやすい部位です。
10000kmに到達しなくても点検も兼ねて、2年に1回(車検毎)は交換しましょう。
プライマリーオイル交換に使う道具


最低限、必要な物に絞って紹介していきます。
- 5/8レンチ(ドレンボルト取外し)
- T27トルクス(ダービーカバー取外し)
- バイクジャッキ
プライマリーオイルの交換にはジャッキが必要です。
なぜなら『プライマリーオイルの液面確認は車体を直立の状態にして行う必要がある』からです。
準備するもの
- プライマリーオイル_ 1本
- 漏斗
- 廃油パック
- シールテープ
- Oリング
- 使い捨てグローブ(あると手が汚れなくて楽)
プライマリーオイルの交換で、廃油は1Lも出てきません。
これに廃油パックを1つ使ってしまうのはもったいない。
だったら、他の部位のオイル交換も一緒にやってしまうのがオススメです。



私はエンジンオイル・ミッションオイル・プライマリーオイルを1つの廃油パックにまとめて廃棄していますよ
エンジンの暖気


常温でも抜けますがエンジンを温めてからのほうが、しっかり古いオイルを抜けます。



私はエンジンオイル交換のついでにやるようにしています
プライマリーオイル交換ステップ①:古いオイルの抜き出し
ジャッキアップ


車体を直立にしないと古いオイルが抜けきりません。
先にも述べましたが、新しいオイルを投入する時に車体を直立させなけれならないので、ジャッキは必要です。
なお、ジャッキはバイク専用の物をオススメします。
自動車用のジャッキを流用すると、車体との接地面が少ないので安定感に欠けます。



ケチって車体を倒したら元も子もないですからね(経験済)
ドレンボルト外し


ドレンボルトは車体の左側からアクセスします。


レンチを使って手で回せるくらいまで、ボルトを緩めます。


廃油パック内にドレンボルトを落とさないように、注意しながらオイルを抜いていきましょう。



ドレンボルトが廃油パックの中に沈むと面倒です(経験済)
プライマリーオイル交換ステップ②:車体下の整備
ドレンボルト清掃
この時に、元々ついていたOリングとシールテープは廃棄して、新しい物との交換しましょう。
ドレンボルトの先端には磁石が付いていて、オイルの中の鉄粉を付着させエンジンを傷から守っています。
プライマリーケース内は他の部位に比べて鉄粉が多く出てきます。
同じサイクルで交換していて、いつもより多量の鉄粉が付着していたり大きな金属片が付着していたらエンジン内に何らかの問題が発生しているかもしれません。
すぐにバイク屋さんに診てもらいましょう。
Oリングとシールテープの取り付け
清掃したドレンボルトに、新しいOリングとシールテープを取り付けていきます。


シールテープは巻かなくてもオイル漏れはしませんが、巻いていた方が安心です。
- シール性の向上
- ネジ山の保護
ドレンボルト自体は大した金額ではありません。
しかし、車体側のネジ山が舐めてしまうと、高額な修理費が発生するので予防に越したことは無いですね。
ドレンボルト取付け


オイルが完全に抜けきったら、 締め込めるところまでは、手でドレインボルトを絞め込みます。
- 途中でネジの感じがおかしかったり、ナナメに刺さっているようならすぐに止める
- 最初から工具を使って締めると、ネジ山が破損する
ドレンボルトの規定トルクは19.8N~20.8Nに指定されていますが、私はトルクレンチを使った事がありません。
手で絞められるだけ締めて、最後に少しだけ工具で増し締めしています。
オイルを抜くときにドレンボルトを緩めていっても、オイルが中々出てきませんでしたよね。
なので、少し緩いくらいじゃオイル漏れはしません。



締めすぎてネジ山が壊れるほうが怖いです
プライマリーオイル交換ステップ③:ダービーカバーの取り外し
プライマリーオイルは投入口が無い


プライマリーオイルは投入口が無いので、ダービーカバーを取り外さなければなりません。
これが『エンジンオイル』『ミッションオイル』と大きく異なる点です。
ダービーカバーの取り外し
ダービーカバーは5本のトルクスボルトで取り付けられています。


T27トルクスを使って、対角線の順序で少しずつ緩めていきましょう。
ボルトを全て外すと、ダービーカバーが外れます。


最後のボルトを外すときは、片手でカバーを支えておきましょう。



一番上のボルトを残しておくと、やりやすいですよ
プライマリーオイル交換ステップ④:新しいオイルの投入
新しいオイルの投入
プライマリーオイルの液面は車体を直立させた状態で確認します。


ジャッキアップして車体を直立にしましょう。
プライマリーオイルはクラッチとケースの間から流し込むように入れます。


これがまた入れづらい。
専用の漏斗がありますが、ちょっとお高いです。
私は漏斗はダイソーで購入した【間口が10cm×10cm】の料理用の物で代用しています。





牛乳パックを使ってもやりやすいですよ
プライマリーオイルの使用量は1クオート


プライマリーカバーを外さなければ1クオート(1本)で足ります。
どうしても古いオイルが多少残っているので、様子を見ながら追加していきましょう。
私は一気に入れてしまいます。
プライマリーオイルの液面確認方法
オイルレベルゲージが無いので目視のみ
プライマリーオイルの液面目安は、ダイヤフラムの下部が少し浸かるくらいです。


わかりにくい!



そのくせハーレーさんの発行するサービスマニュアルには『プライマリーオイルを多く入れ過ぎるとクラッチの切れが悪くなって、アイドリングの時にニュートラル位置に戻りにくくなるよ』って書いてあります


そうは言っても、毎回オイル1本全て入れれば写真のような液面に収まります。
(毎回直立の状態でしっかり古いオイルを抜ききるのが前提条件ですが)



11年間、ツインカムダイナを所有していますが、特に不具合は発生していません。よっぽど入れすぎたり少なすぎたりしない限りは大丈夫だと思います
プライマリーオイル交換ステップ⑤:ダービーカバーの取り付け
実はここが一番やっかいな工程です。
ダービーカバーが取り付けつけられているプライマリーケースのネジ山は脆いです。
締め込み方を失敗すると簡単にネジ山がナメてしまいます。
ダービーカバーのガスケットの確認


ガスケット(Oリング)が変形、劣化しているとオイル漏れます。



交換頻度が低い部分なので、少しで疑わしい場合は交換してしまった方が安心ですよ
ダービーカバーの取り付け


プライマリーケースに付着したオイルを綺麗に拭き取ったら、ダービーカバーを手で仮留めしていきます。
- 途中でネジの感じがおかしかったり、ナナメに刺さっているようならすぐに止める
- 最初から工具を使って締めると、ネジ山が破損する
ダービーカバーを対角線の順番で均等に締め込んでいきます。


ダービーカバーの締め付けトルクは19.0 ~ 28.5 Nmです。
(例のごとくトルクレンチは使いません)
一気に締め付けてしまうと方締めになって隙間からオイルが漏れます。
少しずつ均等にトルクがかかるように締めていきましょう。
最後にジャッキからバイクを降ろして、オイル漏れをチェックして作業完了です。





ストリートボブを所有して10年以上になりますが、未だにオイル漏れてこないか心配になります
交換頻度の考え方
バイクには新しい綺麗なオイルが理想的です。
だから言って、プライマリーオイルを過剰に短いサイクルで交換するのはオススメしません。
なぜならば頻繁にダービーカバーを開ければ、それだけプライマリーケースのネジ山を痛めるからです。
ハーレーのプライマリーケースのネジ山は脆いです。
大袈裟では無く本当に。
私は社外品のダービーカバーを取付けようとしたときに、少し絞めつけ過ぎてプライマリーケースのネジ山をダメにしています。



ローライダーのプライマリーケースが付いているのはその為です
1箇所でもダメになると、ダービーカバーがしっかりシールされずオイルが漏れます。
作業は慎重に。必要以外は開けない。
私と同じ轍を踏まないように気を付けてください。



元々付いていたプライマリーケースはオブジェになりました
まとめ:ハーレーのプライマリーオイル交換は慎重に
では、今一度プライマリーオイル交換の必要な工具と手順をまとめます。
- 5/8レンチ
- T27トルクス
- プライマリーオイル _1本
- 漏斗
- 廃油パック
- シールテープ
- Oリング
- バイクジャッキ
- 車体の暖気(15分程度)
- 古いオイルの抜き出し
- ダービーカバー取り外し
- 新しいオイルの投入 (車体が直立の状態で液面確認)
- ダービーカバー取り付け(対角線の順番で締め付ける)
ハーレーのオイル交換の中でもプライマリーオイルの交換は工程も多く、難易度は低くありません。



私自身、ストリートボブを所有して10年以上になりますが、未だに作業後のオイル漏れが心配です
とは言え、手順とルールをしっかり守れば誰でもプライマリーオイルの交換が出来ます。
さらに自分で整備すれば、普段見えないところにも目が行き、車体トラブルの予兆を発見しやすい側面もあります。
この記事を参考に、ぜひ『プライマリーオイルの交換にチャレンジ』していただきたいです。
今回の記事内容ははあくまで素人の作業手順の紹介となります。そのため、あらゆる人が作業を成功させるのを保証するものではありません。よって当ブログ管理人は作業の結果の安全性を一切保証出来ません。作業により物的損害や障害、死亡の可能性があります。この作業上において発生した物的損害や障害、死亡については当ブログ管理人では一切の責任を負いかねます。すべての作業におけるリスクは、作業を行うご本人に負っていただくことになりますので、充分にご注意ください。
今回の記事は以上になります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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