ハーレーダビッドソンといえば、独特の振動と音を放つ45度の空冷V型エンジン。
今年で創業120年を迎えるハーレー社ですが、ビッグツインと呼ばれる主力モデルに搭載されるエンジンの数はそれほど多くないんです。
ビッグツイン搭載モデル | 非ビッグツイン搭載モデル | |
---|---|---|
外観 | ||
エンジン名 | ミルウォーキーエイト | レボリューションマックス・他 |
エンジン外観 | ||
排気量 | 1,745cc~ | 975cc~ |
主なモデル | ソフテイル ダイナ ツーリング | スポーツスター V-ROD アドベンチャー |
2023年モデル・ハーレーダビッドソンの車種一覧と特徴【試乗レビューあり】
全てのエンジンを覚えようとすると大変なので、とりあえず本記事で紹介する6つだけ押さえておけば大丈夫です。
では行ってみましょう。
ハーレーの歴代エンジンの種類
現行のミルウォーキーエイトを含め、主なハーレーの歴代エンジンは下記の6種類です。
※フラットヘッド等のさらに古いエンジンもありますが、本記事では現行のエンジン形式になったナックルヘッド以降のエンジンに絞って紹介します。
>ハーレーダビッドソンは何cc?現行・歴代モデルの排気量一覧
ナックルヘッドエンジン
ナックルヘッドエンジンの概要
シリンダーヘッドの形状がナックル(拳)に似ていることから、この名が付いたそうです。
ナックルヘッドエンジンの特徴
ハーレー社で初めてオーバーヘッドバルブ形式(以下:OHV)を採用したエンジンです。
OHVとは、 Over Head Valve(オーバー・ヘッド・バルブ)の略語で、4ストローク機関の吸排気弁機構の形式の一つ。バルブ機構をシリンダーヘッド上に備えた形式を言う。日本語では頭上弁式と表記される。
出典:wikipedia
古い技術ですが、今でもマッスルなアメ車に採用されている現役バリバリの形式です。
そして現在製造されている最新のミルウォーキーエイトエンジンもOHVです。
今ではOHVエンジンはハーレーダビッドソンのアイデンティティになっていますよね。
パンヘッドエンジン
パンヘッドエンジンの概要
シリンダーヘッドの形状がパン(鍋)に似ていることから、この名が付いたそうです。
パンヘッドエンジンの特徴
パンヘッドはエンジンの造形美からヴィンテージエンジンの中でも人気のあるエンジンのひとつです。
そして最後に製造されて50年以上も経つにも関わらず、アフターパーツが手に入りやすく、カスタムの幅が広いのも人気の理由のひとつです。
ヴィンテージハーレーが今でも走行できるのは社外パーツが充実しているおかげなんですね。
パンヘッドエンジンを搭載した代表的な車種
Hydra Glide:ハイドラグライド
Duo-Glide:デュオグライド
ショベルヘッドエンジン
ショベルヘッドエンジンの概要
シリンダーヘッドの形状がシャベル(ショベル)に似ていることから、この名が付いたそうです。
ショベルヘッドエンジンの特徴
エンジンの造形美と出力性能の高さでカスタムベースとして人気のあるショベルですが、どうしても故障のイメージがついてまわります。
というのも、ショベルヘッドが製造された1970年代のAMF時代はハーレー社にとっての暗黒期。
この時代のエンジンは製造精度が低いと言われています。
もっともショベルヘッドエンジンの不具合は、部品自体の質が悪いわけではなく組み上げが雑なのが要因のひとつ。
事実、バイク屋さんでしっかり整備したショベルヘッドの車両は元気に走っています。
もし整備しても壊れるのなら、エンジン設計そのものが悪いという事になるはずです。
ハーレーが壊れやすいのは過去の話【故障とトラブルのイメージがついた理由を解説】
ショベルヘッドエンジンを搭載した代表的な車種
Electra Glide:エレクトラグライド
FX Super Glide:スーパーグライド
エボリューションエンジン
エボリューションエンジンの概要
発売当初は四角いヘッドの形状からブロックエンジンの愛称で売り出していましたが浸透せず……
皆さんご存じのように「エボ」の愛称で親しまれています。
エボリューションエンジンの特徴
ショベルヘッドエンジンの時代についてしまった「ハーレーは故障しやすい」という悪評を払拭すべく開発されたエンジンです。
ショベルヘッドより高出力、高耐久。
故障しにくい信頼性の高いエンジンと評価を受け、ハーレーを今の地位に躍進させたエンジンと言っても過言ではありません。
発売当初はショベルのような独特のフィーリングが消えてしまったと不評でした。
エボリューションエンジンを搭載した代表的な車種
Road King:ロードキング
Fat Boy:ファットボーイ
ツインカムエンジン
ツインカムエンジンの概要
名前の通り、シリンダーに2つのカムシャフトを備えているのでツインカム。
ファットヘッドの愛称で発売されましたが、こちらもエボに続いて浸透しませんでした。
ツインカムエンジンの特徴
ツインカムエンジンはエボリューションエンジンより性能が上がっているのはもちろんですが、遊びを残したエンジンと考えます。
年々厳しくなる排ガス規制に対応し、インジェクション化にも対応。
排気量の種類も豊富でした。
リリース当時1450ccだった排気量は最終的に1801ccになりました。
キャブレーターとインジェクションモデルが混載
- ツインカム88 → キャブレーションモデル
- ツインカム96 → インジェクションモデル
2007年にリリースされたツインカム96以降のモデルは全てインジェクション仕様となっています。
インジェクションとはエンジン内にあり、燃料を噴射する装置です。インジェクションが登場する前は機械式のキャブレターが主流でしたが、現在は電子制御のインジェクションに取って代わられました。
引用:グーネット
ツインカムエンジンを搭載した代表的な車種
road glide:ロードグライド
Breakout:ブレイクアウト
ミルウォーキーエイトエンジン
ミルウォーキーエイトエンジンの概要
ハーレーダビッドソンの最新エンジンです。
年々厳しくなる環境規制に対応しながらも、空冷OHVを維持しているところにハーレーのこだわりを感じます。
ミルウォーキーエイトエンジンの特徴
ツインカムよりさらに高いトルクとパワーを発揮するエンジンに進化しています。
空冷と言いつつも、エンジンを冷却するためのオイルラインが設けられています。
厳密には空油冷エンジンと言ったほうが正しいです。
ミルウォーキーエイトエンジンを搭載した代表的な車種
sport glide:スポーツグライド
ultra glide:ウルトラグライド
歴代エンジンの系統を引き継いでほしい
これまでもハーレー社は環境規制をクリアしつつ空冷エンジンの伝統を守ってきました。
>>2024年モデル・ハーレーダビッドソンの新車の車種一覧と特徴【試乗レビューあり】
しかし、それもそう長くは続かないと考えています。
なぜなら空冷エンジンでは今後さらに強化されるであろう環境規制に対応出来ない可能性が高いからです。
これまで何度も水冷化の噂がありましたからね。
そう言いながらも、新しい技術が開発されて伝統の空冷OHVエンジンを守り抜いてほしいと思っています。
今回の記事は以上になります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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