ドイツのバイクメーカーと聞いて思い浮かぶのはBMWだけではないでしょうか?
もしBMW以外の名前が出てきたらよっぽどのバイク好きか変態です。
(誉め言葉ですよ。)
たしかに21世紀の今はBMWがドイツを代表するバイクメーカーですが、昔からそうだったわけではありません。
かつてドイツのバイク産業は盛んでたくさんのメーカーがあり、BMWも『数あるバイクメーカーのひとつ』に過ぎませんでした。
本記事では、残念ながら廃業してしまったメーカーを含め、まだ有名ではないドイツのバイクメーカーを紹介します。
ドイツのバイクメーカーの一覧と特徴
ホレックス【HOREX】
ここ最近話題になっているのが、ホレックス社です。
ホレックス社は1923年にヘッセン州バート・ホンブルクで創業した老舗メーカーです。
業績不振から1956年に倒産しましたが、2016年に復活。
オリジナルのスーパーチャージャーを搭載した6気筒のVR6シリーズをリリースして注目を集めています。
ホレックス【HOREX】の特徴
- レトロな外観と最新のテクノロジーを組み合わせがコンセプト
- カーボンファイバーフレームを搭載することで軽量なのに剛性がある
ホレックス【HOREX】の歴史
- 1923年にフリッツ・クレーマン氏がドイツのヘッセン州バート・ホンブルクで創業。
- 第二次世界大戦により壊滅的な被害を受けバイクの生産が停止するも、1948年に復活。
- バイク需要の減少の煽りを受け経営不振に陥り、1960 年にダイムラー・ベンツに買収されると同時にバイクの生産は終了する。
- 1977年にフリーデル・ミュンヒ氏がホレックス社の権利を取得しバイクの生産を再開するも失敗に終わる。
- 2010年にブランドが復活し、狭角6気筒スーパーチャージャーエンジンを搭載したバイクを発売するも2014年に破産。
- 2016年にスイス・オーストリアを拠点とする3D-Carbonグループに買収されて現在に至る
ホレックス【HOREX】の代表的な車種
インペラトール(1948 年~1955 年)
VR6
ミュンヒ【Munch】
ミュンヒは20世紀後半に注目を集めた高級バイクメーカーです。
当時最先端だった1200cc機械式燃料噴射装置付きで105馬力をほこったマンモス(マムート)は世界に5台、日本にはたったの1台しかない希少価値の高い1台です。
ミュンヒ【Munch】の歴史
- 1956年にホレックス社のレーシング部門で働いたフリーデル・ミュンヒがドイツのフランクフルトに設立。
- 1967年には米国で「世界最大、最強、そして最速の量産バイク」の評価を得る。
- 1973年に経営不振により破産するが、1976年にホレックス・モーターサイクルとして再生する。
- 2002年にミュンヒの名前を冠したバイクの生産は終了する。
ミュンヒ【Munch】の特徴
- 注文を受けてから1台ずつ手作りで制作
- 1969年当時、米国でBMWのバイクが1695$で販売されていた時に3995$で販売していた
- パワーがありすぎて後輪タイヤの破損対策に苦心していた
- パーツ類は同じドイツのBMW製のものだけでなくホンダ製のパーツも多数流用されていた
ミュンヒ【Munch】の代表的な車種
マンモス 1200 TTS-E
Munch2000
DKW
DKWは1920年代当時、世界最大のバイクメーカーでした。
現在はバイクの製造から撤退してしまいましたが、アウディの母体企業としても名が知られています。
DKWの歴史
- 1916年にデンマーク人のヨルゲン・スカフテ・ラスムッセンによって設立
- 1922年にバイクの量産を開始して人気を博し、1928年には世界最大のバイクメーカーになる
- 1932 年、世界大恐慌を受けDKWはアウディ、ホルヒ、ワンダラーと合併してアウトウニオンを設立。
- 1937年、2ストロークエンジンを搭載したバイクがヒットし再び世界最大のバイクメーカーとなる
- 戦後ドイツが東西に分断され、西側に移転し新しい会社を設立する
- 1959年、四輪車需要の高まりを受けてバイクの生産を中止する
DKWの特徴
- 2ストロークエンジンを搭載した車体は、シンプル、実用的、信頼性が高く、経済的で耐久性があり、高性能で評価が高かった。
- アウディのブランドロゴの4つのリングの中の1つはDKWを指している。(他はホルヒ、ワンダラー、アウディ)
- 第二次世界大戦賠償の一環として、車体の設計図がハーレーダビッドソンBSA に提供され、他メーカーの車体製造に影響を与えている
DKWの代表的な車種
RT125W
RT200
マイコ【Maico】
マイコは比較的知名度の低いドイツのブランドです。
あまり知られていませんが、1970年~1980年代のモトクロスシーンで最も成功したバイクメーカーのひとつと言われています。
1986年に会社自体は倒産してしまいましたが、今もブランドは存続しています。
マイコ【Maico】の歴史
- 1926年にウルリッヒ・マイシュがドイツ南西部のポルトリンゲンにてMaisch & Coとして創業。
- 1935 年にマイコという名前でオートバイの製造を開始
- 1950年代の終盤に軍事用バイクの受注する。これを機にオフロードバイクと競技用バイクに注力するようになる
- 1970年代初頭に北米で人気を博し、北米での売り上げが全世界売上高のほぼ50%を占めるようになる。
- 1980年代中盤から多くのバイクメーカーがオフロードバイク市場に参入し競争が激化し、1986年に倒産に追い込まれる。
マイコ【Maico】の特徴
- かつて世界最高のオフロードバイクを開発するメーカーとして知られていた
- アメリカで最も成功したドイツのバイクメーカー
- 現在もマイコブランドで2ストロークオフロードバイクを少数生産している。
マイコ【Maico】の代表的な車種
Maico 700 Supermoto Racing`24
MAICO 400(1974年)
BMW
Bayerische Motoren Werke AG=通称BMW
日本語に翻訳すると「バイエルン発動機製造株式会社」です。
そんな名前で呼ぶ人はほとんどいませんが。
日本では車のほうが有名ですが、BMWは言わずと知れたドイツを代表するバイクメーカーです。
そして車同様、バイクも高級車の位置づけ。
そしてガッチガチのコンピュータ制御が組み込まれたバイクは維持費が半端ない……
庶民ではおいそれと手が出せないません。
そういった意味では、同じ高級バイクメーカーに属するハーレー社はまだ良心的ですよね。
BMWの歴史
- 1916年にドイツのミュンヘンで設立され、航空機エンジンの生産を開始。
- 第一次世界大戦後、ベルサイユ条約により航空機エンジンの生産が出来なくなり、バイク事業に注力した。
- 1923年に水平対向2気筒ボクサーエンジンを搭載した初のバイク、R32を製造開始。
- 第二次世界大戦敗戦を受けバイクの製造を禁止され、アメリカ軍の修理を始め、さまざまな日用品を製造して経営を維持した。
- 1950年代後半に入り財政難に陥るが、自動車部門の成功などでダイムラー・ベンツとの合併を回避した。
- 1980年にオフロードセグメントに参入。
- 2020年にクルーザーセグメントに参入。
BMWの特徴
- シャフトドライブや水平対向2気筒ボクサーエンジンの採用
- スクーターからツアラーまで網羅した広いラインナップ。
- コンピュータ制御で安全性、走行性に定評があるが、セルフメンテが難しいのが難点。
BMWの人気車種
S1000RR
R nineT Scrambler
R18
ドイツのバイクメーカーの復権を期待したい
某漫画で『我がナチスの科学力はァァァァァァァアアア 世界一ィィィィーーーーッ!』
というセリフがネタとして扱われていますが、決して大袈裟ではなく20世紀前半のナチス時代のドイツの科学力は世界トップレベルでした。
多くの日本メーカーがドイツ製の高機能な工作機を求めました。
当時のBMWのアルミ鋳物はガスケット無しでも液漏れしない精度を誇ったとか(知人の話なので真偽は不明ですが)
そしてBMWは2023年の世界販売台数が過去最高を記録するなど絶好調です。
高価ですが、やっぱり人気があるんですよね。
気になる方は、ぜひディーラーに足を運んでみてください。
今回の記事は以上になります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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