
吉野家といえば株主優待が魅力的な銘柄です。

ところが2021年10月に株主優待の改悪が発表されました
保有株式数 | 現行 | 変更後 |
---|---|---|
100~999 | 3000円分の食事券 | 2000円分の食事券 |
私も吉野家の株式を保有しているので、この発表にはガッカリしました。




良い機会なので改めて『吉野家HD【9861】』の株式を分析していきましょう。
なぜならばIR情報を見ても、購入2019年当時も2022年現在も良い数字は並んでいないからです。



吉野家の牛丼のファンなので保有していますが
- 『稼ぐ力』『守る力』『還元する力』 をグラフで簡単に説明
- 吉野家HDの事業展開と今後の見通しと将来性を考察
ファンと名乗りつつも、吉野家HDは2014年に諸事情で、一度売却してしまった銘柄です。
それ以降、買い戻すタイミングを伺っていたら、ずいぶん時間がかかってしまいました。
今回の記事では、吉野家HDのIR資料を簡単にまとめたので紹介します。
吉野家HDの事業内容


吉野家と言えば『うまい、やすい、はやい』でお馴染みの牛丼ですよね。
実は他にも『はなまるうどん』、『ラーメンせたがや』など、手広く展開しています。


吉野家HD【9861】の株価を分析:IR資料より



数字は苦手だなー



わかりやすいように数値をグラフ化していきますね
今回IR資料を分析するにあたり、参考にした図書はこちらです。
用語や数字の意味はこちらの記事で解説していますので良かったらご覧ください。


稼ぐ力 → 「△」


コロナショック前までは売上高は右肩上がりではありましたが、売り上げに対して利益が少ないですよね。
2021年は緊急事態宣言の影響を受け赤字に陥っていますが、2021年8月の中間連結決算では、31億円の黒字と発表されています。
しかし今回の黒字発表は子会社の京樽の売却、時短営業の協力金の寄与していると考えられます。
牛肉価格の高騰や、ここのところの円安基調などで、吉野家を取り巻く環境が厳しいのは変わりありません。



次回の決算発表が心配ですね
守る力 → 「△」


右肩下がりで、財務が健全とは言い難い状況です。
2009年の自己資本比率は60%を超えていただけに、少し心配ですね。
年 | 有利子負債比率 | 有利子負債額 |
---|---|---|
2009年 | 21.89% | 148億4700万円 |
2021年 | 149.11% | 590億3800万円 |
ここ10年で有利子負債が膨み、負債比率が100%を超えてしまいました。
とは言え、営業活動によるCFがプラスを維持出来ているので、すぐに倒産とはならないと考えられます。
還元する力 → 「〇」


減配無しを継続してきましたが、2021年ついに無配となってしまいました。
コロナ禍の影響でやむなしと言ったところでしょうか。



むしろ良くここまで減配しなかったな
さらに冒頭でも述べた、吉野家HDの魅力である株主優待までもが改悪されてしまいました。
保有株式数 | 現行 | 変更後 |
---|---|---|
100~999 | 3000円分の食事券 | 2000円分の食事券 |


念のため制度変更前に保有していた人は、どうなるか問い合わせてみました。
株主優待制度の変更に関するお知らせについて、説明が不足しており申し訳ございません。11月上旬発送予定(2021年8月期)の株主様ご優待券は、これまで通りの内容で発送致しますが、5月上旬発送予定(2022年2月期)以降の株主様ご優待券の内容は、株式の保有期間・時期に関わらず、一昨日に発表致しました内容に変更し、発送することと致しました。●●さまにはご迷惑をお掛けしますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。



残念ながら保有時期は関係ないみたいですね
最低単元数を保有していた場合、実質3000円の減配です。
それでも、1年で4000円分のお食事券が貰えるのは、まだまだ魅力的ではないでしょうか?
海外売上比率


決算短信を見て驚いたんですが、国内の吉野家が約1200店舗、海外の吉野家の店舗が1000店舗近く有り店舗数はそれ程変わりません。
それにも関わらず売上高に関しては10倍近い開きが有ります。
さらにコロナの影響もあってか海外の新規出店数も増えていっていません。
少子高齢化が進み人口が減少していく日本国内の市場ではこれ以上の売り上げ拡大は望めないので、いかに海外で売り上げを伸ばせるかが、今後のポイントとなりそうですね。
決算報告書より
2020年12月期(2020年1月~2020年12月)の決算報告書になります。


売り上げは減少していますが、赤字体質のアークミールと京樽を手放したので以前より身軽になったところはポジティブに捉えられますね。
もともとテイクアウトを実施していた吉野家はダメージは小さいですし、テイクアウトが弱い、はなまるうどんもワクチン接種が広まれば強い回復が期待できると思います。


コロナウイルス流行前の2019年の水準に戻るのは厳しそうですね。
今回、原価率の低減も実現していますが長期的には人件費や材料費の高騰も有りますし原価率は上昇せざる得ない状況になると思います。
そもそも原価率が30%が指標である飲食業界において吉野家の原価率は40%近くと言われています。これ以上材料費などが高騰したら牛丼並盛を380円で提供出来なくなるのも日もそう遠くないと思います。
吉野家【9861】を買った理由
正直な話、決算書の数字だけ見たら、とても買いたいと思える銘柄ではありません。
冒頭で述べましたが、単純に吉野家が好きだから株式を購入しています。
運営に関しても、やっていることも非合理的では?と思うことも多いです。
私の株式購入理由も十分非合理的ですが
例えばBSE問題の時も『アメリカ産の牛肉しか使わない』と、あろうことか看板メニューの牛丼を廃止。



大人しくアメリカ産の牛肉を諦めて他社のようにオーストラリア産で牛丼を提供すれば良いのに
「券売機を置くと接客行為が減ってしまう。牛丼を食べる刹那的な時間ではあるけれど、こうした、お客さんとのメンタルな繋がりを大事にしていきたい」という理由で、未だに券売機を導入しない。



店員さん大変じゃないか?
柔軟さに欠ける運営ですよね。
しかし、このようなこだわりを貫いているから「吉野家の牛丼しか食べない!」と言った根強いファンがいるのかもしれません。
まとめ:吉野家HD【9861】は率先して買う銘柄では無いが優待は魅力的
- 収益性・自己資本率ともに低下傾向にあり投資対象としては「△」
- 海外展開を進めてはいるが国内依存率が高い
- 材料費、人件費の高騰にも関わらず値上げが出来ないので収益体制が脆弱
2021/10/15現在、吉野家HDの株価は割高な水準です。
黒字発表をしたとはいえ、今後の先行きも不透明な状態です。
少し様子を見て、次の決算発表まで様子を見るのが無難ではないでしょうか。
今回の記事は以上になります。
当ブログでは個別の銘柄について言及していますが、投資を推奨しているものではありません。
投資は自己判断でお願いします。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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